つくばソフトウェアエンジニアリング株式会社

40代で後悔しないための、長期的なワークライフバランスの考え方

ワークライフバランス=「緩い働き方」ではない

まず最初に誤解を解いておきたいのは、ワークライフバランスは決して「楽をする」「最低限の仕事だけする」という意味ではないということです。

同時に、「プライベートを犠牲にして仕事に没頭する」ことでもありません。真のワークライフバランスとは、短時間で高い成果を出せるスキルを身につけ、無駄な時間を削ぎ落とし、仕事とプライベート両方を充実させることです。

「今楽をする」ことが、将来の選択肢を狭める

最近「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が注目されています。会社を辞めずに最低限の仕事だけをこなす働き方ですが、この働き方を実践していた20代が転職しようとしたとき「スキルがなく、途方に暮れている」という現実が報告されています。

20代後半から30代前半は、最も吸収力が高く、失敗のコストが低い貴重な時期です。この時期を「省エネモード」で過ごすことは、40代以降の選択肢を大きく狭めてしまいます。

ただし、ここで重要なのは「長時間働け」ということではありません。限られた時間の中で、いかに質の高い経験を積むかが本質です。

プライベート時間こそが、仕事のパフォーマンスを支える

多くの研究が示しているのは、プライベート時間の確保が、むしろ仕事の生産性を高めるという事実です。

プライベート時間は:

  • 心身のリフレッシュに不可欠。燃え尽きを防ぐ

  • 創造性や発想の源泉。異なる視点や気づきを得られる

  • 家族や友人との関係構築。人生の土台となる

  • 趣味や自己投資の時間。新しいスキルや視野を広げる

「仕事だけの人生」を送った人が40代で燃え尽きたり、家族との関係が希薄になったりする例は少なくありません。プライベートを犠牲にした「成功」は、長期的には持続可能ではないのです。

ライフステージによって「投資のタイミング」は異なる

人生には様々なライフステージがあります:

  • 独身時代:時間的余裕がある時期。ただし、この時期もプライベートの充実は重要

  • 子育て期:時間的制約がある中で、効率性が磨かれる。家族との時間が最優先

  • 介護期:家族のケアと仕事の両立。柔軟な働き方が必須

  • 制約が緩和された時期:蓄積したスキルを活かし、次世代を育てる

たとえば小さな子どもがいる30代の社員が、独身の20代と同じように働くのは現実的ではありません。しかし、限られた時間の中で、いかに効率的に成果を出すか——この制約こそが、実は将来の武器になります。

短時間で判断し、優先順位をつけ、他者に適切に任せるスキル。これらは、まさに管理職に求められる能力そのものです。

「意味のない時間」を削ることが本質

多くの調査が指摘するのは、「意味のない時間」が最も人を消耗させるという事実です。

  • 2時間以上の会議

  • 目的不明な打ち合わせ

  • 手戻りばかりの仕事

これらを削減できれば、仕事の質を保ちながら、プライベート時間を確保できます。育児中の社員が18時に退社する。週1日は趣味の時間を確保する。これらは「甘え」ではなく、持続可能なキャリアを築くための合理的選択です。

むしろ問うべきは:「限られた時間で、どれだけ価値を生み出しているか?」「無駄な時間を削減できているか?」という点です。

40代で「選べる側」になるために

40代になったとき:

  • 会社に依存せず、自分のスキルで仕事を選べる

  • プライベートを犠牲にしなくても成果を出せる

  • 家族との関係も良好で、趣味も楽しめる

  • 心身ともに健康で、まだまだ働ける

こういう状態を実現するには、20代〜30代の時間の使い方が鍵です。ただし、その「投資」とは:

  • 仕事の時間:集中して質の高い経験を積む

  • プライベートの時間:リフレッシュし、視野を広げ、人間関係を築く

この両方のバランスこそが、長期的なキャリアを支えます。

ワークライフバランスは「手段」であって「目的」ではない

ワークライフバランスの本質は、「人生全体の充実」のための時間配分の最適化です。

人生のステージごとに、最適な時間の使い方は変わります:

  • 時間的余裕がある時期:仕事での集中的な学習と、プライベートでの多様な経験

  • 子育て・介護期:限られた時間での効率性を磨きつつ、家族との時間を最優先

  • 制約が緩和された時期:蓄積したスキルを活かし、ゆとりある働き方を選択

残業ゼロが目的なのではありません。どのライフステージにあっても、仕事もプライベートも充実させ、40代以降の自由を手に入れる——それが真のワークライフバランスです。

「気づけば10年、仕事だけの人生だった」「家族との時間を犠牲にしすぎた」と後悔しないために。

プライベート時間を確保しながら、その中で質の高い仕事をし、スキルを磨く。これこそが、長期的な視点でのワークライフバランスなのです。


まとめ

ワークライフバランスとは、「緩く働く」ことでも「プライベートを犠牲にする」ことでもありません。それは、効率的に働いてプライベート時間を確保し、その両方を通じて人生を充実させる戦略です。

プライベートで心身をリフレッシュし、家族や友人との関係を築き、趣味や学びに時間を使う。これらが仕事のパフォーマンスを支え、創造性を生み、持続可能なキャリアの基盤となります。

短期的なコスパではなく、長期的な人生の充実を見据えて、今の時間をどう使うか。仕事とプライベート、両方を大切にする——それが問われています。